─ 22 ─ 現代社会の特色
⑴ グローバル化…国境をこえて大量の人やもの,情報が移動するグロ ーバル化が進む。人々の生活が便利になる一方で,国際競争が進み, 世界の国々の間での経済格差が広がる。
⑵ 情報化…インターネットの普及で生活にも変化が出ている。
⑶ 少子高こう齢れい化…出生率の低下,医療の発達などで少子高齢社会に。
⑷ 家族生活…民みん法ぽうにより規定。核かく家族が6割をしめ,単独世帯も増加。 男女共同参画社会基本法の制定などで,男女平等の社会づくりが進む。
⑸ 対立と合意…社会集団内では,ときに対立することがある。その望 ましい解決へ向けて話し合い,合意をめざす。
⑹ 効率と公正…解決策は,効率と公正の2つをみたすかで判断。効率 は無駄を省くこと。公正はだれもが等しくあつかわれること。 人権思想の発達
⑴ 世界の人権獲かく得とくのあゆみ
① イギリス…名めい誉よ革命(1688年)の翌年に「権利(の)章典」を発表。
② フランス…フランス革命(1789年)の際に「人権宣言」を発表。
③ アメリカ…独立戦争(1775∼83年)の際に「独立宣言」を発表。
⑵ 日本の人権思想…福ふく沢ざわ諭ゆ吉きち(「学問のすゝ(す)め」)・中なか江え兆ちょう民みんら。 日本国憲法
⑴ 日本国憲法の制定…1946年11月3日公布,1947年5月3日施し行こう。
⑵ 天皇の地位…日本国および日本国民統合の象しょう徴ちょう。国こく事じ行こう為いを行う。
⑶ 日本国憲法の三大原則…国民主権・基本的人権の尊重・平和主義。
⑷ 憲法改正の手続き
① 国会の発はつ議ぎ…各議院の総議員の3分の2以上の賛成で発議する。
② 国民の承認…国民投票で有効投票の過半数の賛成を得たとき。
③ 天皇の公布…天皇が国民の名で公布する。
(フランス人権宣言)
講座
第 5 現代社会と政治
平等 権
身体 の自 自 由 由 権
精神 の自 由
経済 活動 の自 由
人間 らし い生 活が で きる よう 保障 され る
社会 権
参政 権
請求 権
新しい人 権
第13条 個人の尊重 第14条①法の下もとの平等 第24条 両性の本質的平等 第44条 政治上の平等
第18条 奴ど隷れい的拘こう束そくおよび苦く役えきからの自由 第31条 法定手続きの保障
第33∼35条 逮捕・拘禁などに対する保障たい ほ こうきん 第36∼39条 刑事手続きの保障 第19条 思想および良心の自由 第20条 信教の自由
第21条 集会・結社・表現の自由 第23条 学問の自由
第22条①居住・移転および職業選択の自由 第29条①財産権の不ふ可か侵しん
第25条 生存権 第26条①
①
①
教育を受ける権利 第27条 勤労の権利 第28条 労働基本権
団体交渉権,団体行動権(争議権)
(労働三権)…団結権,
第15条①公務員の選定・罷ひ免めん権 第15条③,第44条,第93条② 選挙権 第44条 被選挙権
第79条②最高裁判所裁判官の国民審査権 第95条 地方自治特別法の住民投票権 第96条①憲法改正の国民投票権 第16条 請願権
第17条 公務員の不法行為についての国家 賠償請求権
こう い ばいしょう
第32条 裁判を受ける権利
第40条 無罪の判決を受けた国民の刑事補ほ 償しょう
請求権
・環境権 ・プライバシーの権利
・知る権利→情報公開制度 ・自己決定権
基本 的人 権を 確保 する ため の権 利 夫婦のみ
19.8% 13.7%
7.3% 30.57.5 16.1
38.3
40.0 6.3 0.2 0.3
20.8 6000
5000
4000
3000
2000
1000
0 1960年 85 2010 19.0
夫婦と子ども 27.9
ひとり親と 子ども 8.7 その他の親族世帯
10.2 非親族世帯
0.9 単独世帯
32.5
※1960年は
統計の基準が異なる。
万世帯 核家族 第 1 条 天皇は,日本国の象徴であり日本国民
統合の象徴であって,この地位は,主権 の存する日本国民の総意に基もとづく。 第 9 条② ……陸海空軍その他の戦力は,これ
を保持しない。国の交戦権は,これを認 めない。
第11条 ……この憲法が国民に保障する基本的 人権は,侵おかすことのできない永久の権利 として,現在及および将来の国民に与あたへられ る。
第25条① すべて国民は,健康で文化的な最低 限度の生活を営む権利を有する。
しょうちょう
▲日本国憲法のおもな条文
年代 1215 1640 88 89 90
1748 62 76 89 1872 1919 46 48
おもなことがら マグナ = カルタ ピューリタン革命 名めい よ
誉革命 権利(の)章典 ロック 統治二論
(市民政府二論) モンテスキュー 法の精神 ルソー 社会契けいやく約論 アメリカ独立宣言 フランス革命 人権宣言 福沢諭 (す)
ふくざわ ゆ きち
吉 学問のすゝめ ワイマール憲法…ドイツ 日本国憲法公布 国際連合 世界人権宣言
イギ リス 正当
化
フラ ンス
▲人権思想の発達の歴史
▲基本的人権
─ 23 ─ 民主政治のしくみとはたらき
⑴ 選挙と政党
① 公職選挙法…1950年に制定。選挙のしくみをくわしく規定。
② 選挙権と被選挙権…選挙権は満18歳以上。
③ 政党…与よ党とう(政権を担当)と野や党とう(与党を批判・抑制)。
⑵ 国会…国権の最高機関,唯ゆい一いつの立法機関。二院制。
① 国会の種類…常会,臨りん時じ会,特別会,緊急集会。
② 国会の仕事…法律の制定,憲法改正の発議,予算の議決,条約の承 認,内閣総理大臣の指名,弾だん劾がい裁判所の設置など。
③ 衆議院だけの権限…内閣不信任の決議。
④ 各議院が独立して行使する権限…国政調査権。
⑤ 衆議院の優ゆう越えつ…法律案の議決,予算の先議・議 決,内閣総理大臣の指名などで衆議院が優越。
⑶ 内閣…最高の行政機関。
① 内閣のしくみ…内閣総理大臣⇨文民で,国会議 員の中から国会が指名し天皇が任命。国務大臣⇨ 文民で,過半数は国会議員。
② 内閣の仕事…予算の作成,政令の制定,条約の締結など。
③ 議院内閣制…内閣は議会(国会)の信任の上に成立する。
⑷ 裁判所…司法権の独立⇨国会・内閣に対して独立した地位をもつ。
① 裁判所の種類…最高裁判所⇨司法権の最高機関。下級裁判所⇨高 等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所の総称。
② 公正・慎重な裁判…三審制⇨同一事件につき3回まで裁判を受け られる。再審⇨裁判の重大な誤りが疑われる場合に行われる。
③ 裁判員制度…重大な刑事事件について,国民の中から選ばれた裁 判員が,裁判官とともに審理し,有罪・無罪や刑の内容を判断する。
⑸ 三権分立…国家権力を,立法権(国会)・行政権(内閣)・司法権(裁 判所)に分け,相互抑制で権力の濫らん用ようを防止する。
⑹ 地方公共団体のしくみ
① 地方議会…条例の制定,予算の議決,決算の承認など。
② 執行機関…首長の資格⇨知事は満30歳,市町村長は満25歳以上。 補助機関⇨都道府県は副知事,市町村は副市町村長。
⑺ 住民の権利
① 直接請求権…条例の制定・改廃や監査,解職・解散の請求。
② 住民投票…地域の重要な問題を住民に投票で問う例が増えている。
⑻ 地方財政…歳入は,住民から徴収する地方税,地域格差を是正する ための地方交付税交付金,使いみちを決められた国庫支出金など。
衆 議 院 475 * 比例代表180人
小選挙区295人 4年…解散の場合 は任期前に終了 満18歳以上 満25歳以上 小選挙区(*295選挙 区),比例代表(11 ブロック)
*2017年夏以降の選挙では,定数465(比例代表176人, 小選挙区289人)。小選挙区は全国289選挙区。
あ り な し
定 数
任 期 選 挙 権 被選挙権 選挙区
解 散 緊急集会
参 議 院 242 比例代表96人
選挙区146人 6年…3年ごとに 半数を改選 満18歳以上 満30歳以上 選挙区(原則とし て都道府県ごと), 比例代表(全国で1 選挙区) なし…衆議院解散 のときは閉会
衆議院解散中
▲両議院の違い 被選挙権 国 会 地方公共団体
衆議院議員 市町村長,地方議会議員 参議院議員 都道府県知事 満25歳以上
満30歳以上
常じょう
会かい
(通常国会) 臨りん
時じ 会
(臨時国会)
特 別 会
(特別国会) 緊きん
急きゅう
集会
(参議院のみ)
毎年1回,1月に定期的に召 集
●内閣が必要と認めた場合
●いずれかの議院の総議員の 4分の1以上の要求があった 場合
解散による総選挙後30日以内 に召集
(衆議院の解散中,緊急の必 要がある場合に内閣が要求)
150日間
両議院一いっ致ち の議決で決 定する
不定(内閣が 決定する)
次年度の予よ算さん議決
臨時の議題の議決
内閣総そう理り大だい臣じんの指し 名めい
緊急の議題 召 集 会 期 主 要 議 題
▲国会の種類
▲三権分立のしくみ 内 容 必要な署名
有権者の 50分の1 以上
有権者の 3分の1 以上
請求先 首 長
監査委員 選挙管理 委 員 会 選挙管理 委 員 会 条例の制定・
改かい
廃はい
の請求 監かん
査さ請求 議 会 の 解散請求 首長・議員の 解職請求(リコール)
▲地方公共団体の住民の直接請せい求きゅう権
─ 24 ─
確 認 問 題
現代社会の特色 次の文中の にあてはまる語句を答えなさい。
⑴ 化により人々の国家間の移動が増え,世界の一体化が進んでいる。
⑵ 対立の解決策を探るときは, と公正という2つの視点が重要である。
⑶ 現在の日本では,夫婦のみか,親と未婚の子で構成された 家族世帯が全体の約6割をしめている。
⑷ 1999年から施行された 法により,男女の区別なく個人が能力を生かすことのできる社会づくりが進 められている。
⑸ が普及し,パソコンによる情報の送受信がさかんに行われるようになった。
人権思想の発達と日本国憲法 次の問いに答えなさい。
⑴ 「法の精神」を著あらわして三権分立の理論を確立した,フランスの啓けい蒙もう思想家はだれか。
⑵ 「統治二論(市民政府二論)」を著した,イギリスの思想家はだれか。
⑶ 名めい誉よ革命後の1689年,イギリス議会が新王に市民の権利を認めさせた文書は何か。
⑷ フランス革命に際し,国民議会は自由・平等や国民主権を説いた文書を発表した。この文書を何というか。
⑸ 「学問のすゝ(す)め」を著し,欧米の人権思想を日本に紹しょう介かいしたのはだれか。
⑹ 日本国憲法は,天皇の地位を国と国民統合の何であると位置づけているか。
⑺ 日本国憲法の三大原則は,国民主権,基本的人権の尊重と,あと1つは何か。
⑻ 憲法改正の発議は,各議院の総議員の何分のいくつ以上の賛成で国会が行うか。
⑼ 日本国憲法が定める国民の三大義務とは,普通教育を受けさせる義務,勤労の義務と,あと1つは何か。
⑽ 社会権の中で,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を何というか。
民主政治のしくみとはたらき 次の文中の にあてはまる語句や数字を答えなさい。
⑴ 都道府県知事の被選挙権をもつ年齢は満 歳以上である。
⑵ 選挙の手続きや投票のしかたなどを定めた法律を という。
⑶ 政権を担当している政党を という。
⑷ 日本国憲法は,国会は の最高機関で,唯ゆい一いつの立法機関であると定めている。
⑸ 衆議院の解散による総選挙後,30日以内に召集される国会は である。
⑹ 衆議院のみに認められるものに,予算の先議権と の決議権がある。
⑺ 国務大臣は文民であり,過半数は でなければならない。
⑻ 内閣は, に対して連れん帯たいして責任を負う。
⑼ 衆議院が内閣信任決議を否決し,または内閣不信任決議を可決したときは,内閣は10日以内に衆議院を するか,総辞職しなければならない。
⑽ 終審の裁判所で,「憲法の番人」とよばれるのは 裁判所である。
⑾ 裁判の公正と慎しん重ちょうをはかるため,原則として3回まで裁判を受けることができるしくみを という。
⑿ 都道府県で知事を補佐する役職は である。
1
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
2
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
3
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
─ 25 ─
練 習 問 題
次の文章を読んで,あとの問いに答えなさい。
現代の日本ではⓐ家族やⓑ人権,ⓒ地方自治の分野などでも,豊かな社会づく りの努力が続いている。一方で,ⓓ少子高齢化が進むなどの課題も見られる。
⑴ 下線部ⓐについて,婚こん姻いんや扶ふ養よう,相続などについて定めた法律を何というか。
⑵ 下線部ⓑについて,私生活を勝手に公表されない権利を何というか。
⑶ 下線部ⓒについて,地方公共団体が独自に制定できる決まりを何というか。
⑷ 下線部ⓓの原因としてあてはまらないものを次から1つ選び,記号で答えな さい。
ア 出生率の低下 イ 生産年齢人口の増加 ウ 高齢者の割合の増加 エ 平均寿命ののび
わが国の政治について,次の問いに答えなさい。
⑴ 次のA∼Dの文中の にあては まる語句を,それぞれ下のア∼エから 選び,記号で答えなさい。また,文の 下線部にあてはまる矢印を,図中の①
∼⑪から選び,番号で答えなさい。 A 天皇は, の指名に基づいて,
内閣総理大臣を任命する。
ア 国民 イ 国会 ウ 裁判所 エ 衆議院 B 最高裁判所長官は, によって天皇が任命する。
ア 内閣総理大臣の指名 イ 国民の選挙 ウ 国会議員の選挙 エ 内閣の指名
C 立りっ法ぽう権を有する の定めた法律が,憲法に違反していないかどうかを 審しん
査さする権限を,違い憲けん審査権(違憲立法審査権,法令審査権)という。 ア 国会 イ 国民の代表 ウ 内閣総理大臣 エ 裁判所 D 弾だん劾がい裁判所は, によって組織される。
ア 国務大臣 イ 最高裁判所の裁判官 ウ 国民の代表 エ 国会議員
⑵ 次の ・ にあてはまる矢印を,図中の①∼⑪からそれぞれ選び,番号で答 えなさい。
衆議院の解散 衆議院議員選挙の際に行う国民審査
⑶ 解散による衆議院議員の総選挙後に初めて召集される国会で,すべての案件 に先だって行われることを,15字以内で答えなさい。
⑷ 国会の仕事の中で,衆議院の優越が認められているものを,次から選び,記 号で答えなさい。
ア 憲法の改正 イ 法律案の議決 ウ 決算の承認 エ 国政の実情の調査
1
2
1
⑴
⑵
⑶
⑷
2
⑴ A
記号番号
B
記号番号
C
記号番号
D
記号番号
⑵
⑶
⑷